揺らぎ/ゆるこ
 
空からこぼれ落ちた奇跡の渦の中で
ぐるりぐるりと混ざり合う
マクロコスモスな分子を
呼吸の中で循環しながら


私の名前が 初めて生まれた日の朝
気候はすこし湿り気をおびていて
お父さんは一オクターブ高くひっくり返った声で
ぎこちなくよんだこと、覚えている



長く長く命を運ぶ風の音を
唾をつけた指先で読めば
私の知り得なかった知識や出来事が
体中に吸い込まれていく感覚が優しい


記録が薄い透明なゴム状のものに包装されて
ゆっくりと脳内に浸されていく
一呼吸おいた 刹那に
句読点は撃ち込まれてゆくというのに


たらちねの木の下で
静かに取り上げられる
赤い目をした、小さな残像
口づけをした 夜だった


浸透圧が気泡を ぷちりぷちりとつぶしていく
私の運動能力を奪ってゆく
循環と/還元が/繰り返される
失言、湿原に 還ろう


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