六月/非在の虹
 
天気図の上に一本の線が描かれている
その上を歩いているのはきみだ
きみは日本列島を気軽に縦断してしまう

雨の日
きみは美しい声で語るのだ
温帯のこの土地に降る
雨のエネルギーについて
こんなにも静かな
雨のちからとは何なのだろう
そうだ 生と死を
つくり出すもの
ぼくたちは雨のちからで生きている
死について語るまえに
死は僕に訪れるかもしれない
そのときも きみは雨について語ってくれるだろうか?

天気図のうえに一本の線が描かれている
街ゆく人々の手から ふっと 雨傘が消える
おどろく人々は ただ雨音に包まれているだけだ
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