NO!/吉岡ペペロ
 
ていることを

少年が今夜泊まる宿を偵察しに走った

おねえちゃん、だいじょうぶだよ、

いつも少年は女のために建物のなかに

避けられないほどの鏡がないのを確かめてくれるのだった

大男と少年はよく見るとその容貌が似ていた

でも親子でも親戚でもないという

大男が舌打ちをした

少年が腰袋から石を取り出した

少年がなにかつぶやくと石は濃い月の色になる

NO!

少年が叫ぶ

前方に石を投げるともう何度も見た怪物が

空間をひきちぎるように現れて

獣の断末魔をあげて焼けるように蒸発した
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