June Pride/中原 那由多
真っ暗な部屋の中
東に傾く月
かつては私にくっきりとした影を与えてくれたのに
今となっては嗚呼遠く
星座のシャンデリアが揺らぐと歌ったあの日は
こんなに遠い過去だったのかと見上げて思う
今はただ携帯電話の画面だけが青白く顔を照らした時間
窓は開けたままでいる
そのたびにどうしてあの遠くの騒音の一部になれないものかと首をかしげては
髪をごしごしと掻き乱す
自分がなぜここでこうしているのかと
誰か私の心を知ってくれよと訴えながら
出来るものならやってみろと何様気分で上から見下げる
嗚呼、だからこんなに独り言が多いのかと
そして何よりそこに魅力を感じているのかと
納得するのはまた独り
On-The-Goに雨の歌を詰め込んでは
ぼんやり流れていくばかり
必要以上に水色を意識して
その色を好きになろうとしてみる
やっぱりそれには限界があり
そうしてきた私もまた迷路で迷っているのだろう
6月1日の終わり頃
それはとても静かな夜だった
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