アナゴ/MOJO
 
至福のひと時である。
 だが、たまに変に苦い一本がある。
 あれ? と確かめてみると、取り除きそこなったはらわたに青イソメが混じっている。
 青イソメとは環形動物であり、東京湾釣師にとって標準的な餌である。姿形は百足といい勝負にグロい。釣モードのときは平気で指でつまみ釣り針に刺すのだが、帰宅してビールを飲みながら口腔内にその存在を認めると「ぎょえ〜〜!」ということなる。
先日テレビで東南アジアの山の民が朽木の幹から掘り出した芋虫を食らうのを見た。
 私は揚がった青イソメを思い出し、なんだか口の中に苦みがひろがるような気がしたのである。


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