クロマニヨンプレイ/カンチェルスキス
 
買ったTシャツの文言を読んだだけだった。やっぱり慣れないことだろうか、おれは疲れた。依頼者も、写るんですよで撮ったんだから、きっと写ってるんですよ、と言って、写真の仕上がりを早く確かめたがったのだが、おれは早急に仕上げに走るのを断った。だって、そうじゃないか、嘘がばれるじゃんか。嘘がばれるなら、もっと遠くの日々によって明かされたいのだ、納期は一ヵ月後となっている。今からSSS君との話し合いだ、やつはあん肝とか踊りシラスとか奢れば、なんなく調子に乗り、上々の写真をおれに譲り渡してくれるのだ。
 仕事終わり、近くの銭湯に寄ったのち、自宅でささみチーズカツ。ビールがうまかった。鳥南蛮は鳴いている。「うつくしい森にかえせ、うつくしい森にかえせ!」と。
 おれは自分のへその穴をぐりぐりした。指の先を臭ったら、へんな匂いがした。






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