金魚/北野つづみ
どうして夏は暑いのだろう
南半球の八月を思い
冷たく白い夏を想像してみるけれど
ひんやりともしない
フローリングに横たわっていると
少しは涼しいから
寝転がって
窓越しに雲が
左へ左へと流れていくのをみている
地球上の水は循環しているんだそうだ
二十億年前から変わらずに
雲になり雨になって
地上へ降り注ぐ
土に染みこみ集まって
川となって海へと向かう
そうして水蒸気は空へ還る
どこへも逃げていかない水
いつまでも留まっている水
出口がないのは
バケツの中の金魚のように
なんだか息苦しい
バケツ
なぜバケツかというと
夜店ですくった金魚だから
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