橙のころ/ゆうさく
だいだいに
染め上げられた、
自転車に
ぼくの半ズボンが呼応して
街が光っていく
巨大な飛行機雲が
目の前で
クロスを描き、
初夏をあらわす
哀しくて、
吐き出した、
ぼくの温かなため息が
見知らぬ人の
買い物袋を
湿らしてゆく
慌てて
一気飲みした青春は
もう取り戻せないと
知ったのは
こんな日だった
まるく、
いたたまれない、
まるい、
まるい、
夕方だった
あ、
お、も、ひ、
で
一瞬のよぎり、
ちら、り
すとん、
想い出の残響
いやらしい、
美しい、
夕暮れの日だった
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