薄闇からの…/
ゆびのおと
白昼の薄闇から
紡ぎ出されることばは
淡く銀に光るほそい糸となり途切れることなく
佇む木の脳髄に送り込まれてゆく
ほんの一瞥で
粉々に砕けてしまいそうなその糸は
淡い夢のように儚げで
私は息を止めて
じっと見入るのだ
糸が動きだし 不思議な紋様を描き出すその時を
瞬きもせず
息もしないで
待ち続けるのだ
祈りの言葉を唱えながら。
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