愛の詩人・上手宰と「冊」の詩人からの伝言/服部 剛
 
と思
う。 

 「冊」の詩人の最後に、伊東唯さんが「メ
ランンコリア」という詩を読んでくれた。デュ
ーラーという版画家の、同タイトルの名作の 
銅版画の前に伊東さんが立った時に作品から
(みつけてごらん)と語りかけられる「音の
無い声」に耳を澄まして聞き取るような詩の
世界であった。 


  頬杖をついた 立派な翼の天使
  どっしりと座り 
  片方の手には製図コンパス 
  大きく目を開き 中空を睨んでいる

  あなたが描こうとしているものは
  何なのか 

  傍らには小さな天使    
  寝ている痩せたヤギ 
  天秤ばか
[次のページ]
戻る   Point(2)