メルヘンの影 変身 梟の首/青の詩人
夢を見ない者たちに
夢を届けにゆきなさいと
言われ
白鳥は怖気づいた
飛び立ってしまったら最後
戻れなくなるような気がしたから
その昔
どこかの国の王子だった
ことも忘れて
目に映る魚だけを
せっせと飲み込んでいた
水しぶきがお話する朝
真実は曖昧だ
変は外から訪れる
春がそそくさと去る少し前に
あくまで自分のためだけに
したためておいた翼を
初めて自分以外の
誰かのために広げた
その羽が
物語の一頁目
侵食が
この森ではじまったと
知恵ある魔女たちの噂
現を飲み込みし夢
ちょうどその頃
湖の
底のほうで
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