チューインガム/山中 烏流
音楽は止まない
それは
人々の指先から溢れるものであることを
私/あるいは、あなたが
知っているからだ
そうして
その熱に触れる度
私/あなたは
それが
ありふれていて、なお
尊いものであることを
もう一度
思い知るのだ
ひだまりに咲く色は
何も
柔らかいものばかりではない
しかし、その
事実を知っている人々は
きっと
私が思うより少なくて
その方が、ずっと幸せで
あなたの舌先に絡み付いて
離れないままだった何かなら
今朝、寝言と一緒に吐き出されて
今は
私の耳の中に張り付いている
音楽は止まない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)