『糸』/あおい満月
 
透明な糸が
のびていく
あてもなく
まっすぐと

洗い髪の先端が
とぎれる音と
あなたのためいきが
寄り添って
わたしを流れていく

たしかな明日を
手探る右手が
ふるえる
影のような
かなしみを背負って

大海を游ぐ術も
知らないで
また、船出をするのね

求めるものなど
何もなくても
何かを握りしめて
いたい

それは
わたしのこころ?
わたしのいのち?

たとえ
わたしはわたしを
置き去りにしても
守りたいものは
あなたです

見えない
わたしのなみだは
流れゆく場所を
知りません

どこかへ
あなたのどこかへ
辿りつくことを
祈っています

今は、
手のひらに
ゆれる焔を信じて

歩いてゆきます

あなたへ



                     2009.5.23(Sat)

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