Real Voice In White Space/服部 剛
隅で
ささやかな反抗が
瞳を光らせる
一日の仕事を終え
バス停に立つ時刻表に凭れる
交差点の信号は青に変わり
向こうからゆっくりと来るバスは
灰色のコートに包(くる)まった僕の身を乗せ
細い道の闇へ吸い込まれてゆく
家に帰ると
今夜もパソコン画面の
白い空間を目の前に広げ
「向こう側」に呼吸する誰かを探し
キーボードを打つ
五本の指だけがしゃきしゃきと踊り続け
血の通う温(ぬく)みを
電子文字に吹き込もうと試みる
「モウ一人 ノ ボク」が
白い画面の内側に歩き出し
寂しげな顔を浮かべた石が
落っこちていやしないかと
あたりを見回す
1人 ・・・ 2人 ・・・ 3人 ・・・
白い空間に
あらゆる表情を浮かべた無数の石ころが現れ
小さい呟(つぶや)きをはき出しながら
終わりの無い浮遊を始める
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