Real Voice In White Space/服部 剛
 
私の名前は「架空」です
私が現実に生きる本名と
人々とふれあういくつもの場面は幻です
パソコン画面の内側に
果てなく広がるさわれない空間で
足をつける地も見つけられずに
呼んでいます

「ホントノ ワタシガ ココニイマス ・・・」

見知らぬ アナタ が現れて
電子文字の会話をすると
自分でも気付かぬうちに
アナタ の美貌を描いていたり
触(さわ)れないココロのつながりが垣間見えたり

日中の雑踏で
スーツを身に装い
交差点の渦の只中に立つ
感情の無い足音に包まれ
ふいに 私は どこまでも 「独り」

ビル群を仰ぐ
頼りなげな想いの片隅で
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