また夏が来る/ゆでたまご
あの年の夏
私たちはよく太陽の下にいた
出会ったのは夜
でも私は
青い空と太陽の下で汗を滲ませるきみが好きだった
ずっと近くに感じられる気がしていた
風もない森
真昼の白い太陽の下で
蝉の鳴き声と
ぼす、ぼす、と歩く私たちの足音
目的もなくただひたすら歩いて汗を流して
私は時折きみの目線の先を追って
そうだ
あの時私は
きみを知りたいと思ったんだ
きみの目線の先
それは目から脳に伝わって
脳の中でどう処理されていくのか
全てを知りたくてしかたがなかった
それだけだった
今年もまた夏が来たら
同じことを思うんだろうか
私はまだ思い出から抜け出せないまま
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