風の吹く街/キエルセ・牧
コンクリートブロックを敷きつめた街に
私 は裸で腰かけている
見知った声が聞こえたので左手を上げて後ろを振り向いたが
誰もいないのを確かめただけだった
何故なのかを思い出すことは
当面の目的では無いしそして苦しいけれど
次のことが大事なことだ
風 が吹かなければ何も感じない
一人だこの街は 私 一人だ
* * *
彼 の黄色に濁った眼差し
熱く囁かれた 嘘 の話
アイスホッケーの話だ
何年も昔のカナダの都市で行われた大学生の試合
ルールも知らない 私 がわかるすべのない話
その話は 彼 によって繰り返し話される
スティックが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)