ウサギになる魔法/噛子
儀式を行った
「さあ、ジェシー、お座り」
僕はそう云って、ミスターグリッドから貰った壷からウサギの血を人差し指に取り、彼女の身体に赤の点をつけてゆく、これが儀式
「ねえ、段々と君はウサギらしくなってきたね」
赤い点は日に日に増え、今ではもう点と点が繋がりかけていて、点で作られた模様が一部では池や雲のようにも見える
ウサギの血を塗ると、一日立つと被れ、二日目になるとウサギの柔らかい桃色の皮膚らしきものになる、三日目には完全に皮膚になり、四日目には白っぽい産毛が生えてくる
これを繰り返し、幼きおんなの子が少女になる頃、彼女は完璧なウサギとなった
僕はウサギになって、人の言葉を喋ることの出来なくなってしまった少女に云った
「待っていてね、今度は僕の番だよ」
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