またひとつ魔法をおぼえた/八月のさかな
 


夏の夜に雪をふらせて
ねこの言葉を聞き分けて
なにものからもわたしを守るバリアをはる


よごれた世界は電気みたいに
わたしのまわりを取り囲むけれど
わたしを闇に隠してくれた夜が去っても
透明な空気がわたしを包み
蔓延する悪意を遠ざける


完全に守られたわたしは
バリアをほどいて遠ざけられた光に歩み寄る


わたしはどれだけでも強くなれるし
この上なく弱くもなれる


よのなかがわたしを傷つけても
わたしは打ちひしがれながら
その傷をいとしく舐める


今日もまたひとつ、幸福を知る
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