しめったシーツ/百瀬朝子
 
胸が つんと 詰まる
まるで涙をこらえているみたいに つんと
こぼれそうなこの思いは なんだろう

真っ白いシーツ 物干し竿でなびいている
舞い上がる 太陽を包みこむように
ひるがえったシーツは 乾いている
笑いも涙も 何も 含んでいない
今夜 涙や汗で しめることも知らずに 舞い上がる

どれだけ涙を流しても 鼻の奥 つんとする 消えない
わけもないのに さみしい なんて言えない
夜 うずくまる形で横になって
押し潰されそうな心を抱えて 耐えている
朝はまだ来ない
しめったシーツを置いて 夢を見よう

この肉体を置き去りにすれば どこ
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