「 世界のパズル 」 /服部 剛
 
「世界」という名のパズルから 
はみ出した1ピースの「私」は 
いつまでも 
自らの存在に、飢えている

風に揺られる野の百合や 
空に翼を広げる鳥は 
「世界」という名のパズルに入り 
天に向かって賛美歌を 
無心に奏でている 

あぁ「私」は
「私」を忘れなければ 
あの
「開かれた世界」に入れない  

あぁ「私」は
「私」を忘れ去り 
野の百合や 
空の鳥が翼を広げる 
あの
「開かれた世界」に入りたい 

草原に独り立つ私は 
両腕を広げたまま 
背後に倒れ 
叢(くさむら)に、身を埋(うず)める 

(汝ノ全テヲ、忘却セヨ・・・)  
そうして仰ぐいちめんの、青い空 








一羽の鳥が、横切った。 







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