風ノ人 /
服部 剛
私が幸福を
忘れてしまうのは
きっと「私」を
握り締めてしまうから
もしも「私」を手放せば
空っぽの透けた体に
(風ノ人)が入って来る
そして両手を組み合わせ
私に観えない幸福を
一心に、願い始める
人の心の
最も深い部屋にいる
(風ノ人)の切なる祈りに
耳を澄ます時
私自らが、充たされてゆく
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