陽炎/柊 恵
 

中には私が居た。



日曜日に小林さん…千奈が遊びに来た。
近頃では紅実と、すっかり親友になっている。

やはり心配した通りだった。
千奈は継父から、児童相談所に相談したことを責められていた。

「お父さん、どうして保護してもらえないのかな…」
「千奈のは精神的虐待の色合いが強いから…緊急性が低いと思われてるのさ。
命の危険が有るとかの肉体的虐待は、隔離の為に保護されるけど…」

千奈は息を呑んだ。

「本当のこと話してみるよ…」
「ん?…」

「ねぇ、お父さんのこと、本当のお父さんと思って良い?」
「千奈は昔から本当の娘だよ。霧の日に会ったこと憶え
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