石ノ顔 /服部 剛
 
亡き祖母の和室を書斎にして 
らんぷ灯の下に 
古書を開く 

この和室で 
祖母が永遠に眠った 
あの日から 
部屋の隅に置かれた受話器は 
お辞儀をしたまま黙っている 

背後の仏壇から 
覗くように
微笑みかける、祖母の顔 

(婆ちゃん、今日はいい天気だな・・・ 

障子(しょうじ)の戸を、左右に開く 

庭の揺れる草々に囲まれて 
木漏れ日を浴びる 
丸石の顔が 
ほっこり
僕に、微笑んだ。 




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