生き物と食べもの/猫のひたい撫でるたま子
 
60代の友達とご飯を食べに行った。

 「誰かが首を吊っている、俺はそろそろ朝飯だ」という中原中也の詩を教えてもらった。彼の信条は、「大切な人は生涯3人でいい、それ以外は考えていたら何も言えない。」だという。人に刺されたり、ヤクザに命を狙われたりといった職業の方なのでこれは極論にしろ、何かを発してゆく為にはそういった心構えが必要なのだと思う。

 一見厳しいように見えるその人でも、昨今の不景気で首を吊りたくなる瞬間があるそうだ。私はこんな心境を聞いてしまったら、その友達も私にとって生涯において守るべき3人に加えなくてはいけない気がしてしまう。ちらっとしか見せないそんな弱さも魅力的に映る
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