『真昼の月の窓辺』/あおい満月
真昼の月の窓辺に
通り過ぎゆく
硝子の世界
なにかが在って
なにも無い
誰かがいて
誰も居ない
ジオラマの影
週末の真昼の東京は
目を開けたまま
眠っている動物のように
なにかを待っている
それは明日の
憂鬱か
週明けの
躁鬱か
太陽のした
わたしは歩く
肩に軋む鞄
唇に零れる笑みの
行方さえわからないまま
脳内に
雑踏を響かせて
(こんな時間、早く終わってしまえばいいのに!)
手探りで
貪る明日は
漬け込み野菜のように
どろどろしている
結局、
わたしはどこにでも
「私」を連れてきてしまうのだ
太陽を打ち破って
黒いビロードをひきずりだして
月の光などなくていい
揺らめく氷水の
夢に解けたい
目の前で眠っている
「あの人」みたいに…
2009.5.9(Sat)
戻る 編 削 Point(5)