滅び、甦り/中原 那由多
 
退屈にまみれていたあの日の昼前
ただ満たせるものを求めたわけでもなかった
止まった水流も偽りの角も
偶然に目があっただけだった


所詮私はチェシャ・ネコにはなれない


この場所が体を預けるようにして
時代という蝕みに拐われて行く
ポケットの中、お菓子のように甘い歌はすぐ溶けて
閉鎖を上から眺めるだけだった


やはり私にクリケー遊びは出来そうにない


草木はずっと精一杯に呼吸する
ベンチに腰かけては視線を乱し
光と影 影と光の言葉を集めた

止めようのない廻り合わせと知りつつも
崩壊の手前で涙を拾う
穴に落ちることで逃れられるなら
再生に始まりは来ないのだろう


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