くじら雲/1486 106
 
芝生の布団に寝転がって
五月晴れの空を見上げていたら
公園一帯を包み込む大きな影
くじら雲が町を横切った



頬をくすぐる風が心地よくて
いつの間にかうとうとしてら
くじら雲が近付いてきて
背中に乗せてあげるよと言った

やわらかな感触の背中にまたがって
透き通った青空を掻き分けて進んだ
見慣れたマンションや裏山も
上から眺めると全然違って見えるんだ

学校の屋上ではヒデカズ君が
おへそを出しながら昼寝していた
大声で呼び掛けたけど聞こえないみたいだ
明日の朝一番に自慢してやろう

あまりにも低空で泳いでいたから
デパートのアドバルーンにかすって

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