いきなさい/依
いきなさい
そう言われて
ここまで来たと言った
うすぼんやりとした目の奥で
覚えていた景色はたぶん
泣いていたのだと思う
赦されないと解っていたから
一度も振り返らなかったけれど
ひとつふたつと数えられた
月と日の数が
もうとっくにあの頃の自分を追い越してしまって
今度は自分が言う番だねと笑う
もういっても大丈夫でしょう?
問われる度に考えてしまう
意味論に囚われた
新世代の曖昧な返事
まだいかないで
どこにいけばいいのか解らないから
ずいぶんと前の日曜日から
記憶は進んだり戻っ
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