ふたつ/夏嶋 真子
 


あさとよる
うみとそら


砂浜は境界線
ふたつでひとつ
よせてかえして
あいまいに笑ってる


目はふたっつ
耳はふたっつ


瞬きのためいき
ふたつでひとつ
すってはいて
風が遠くをはこんでくる



くちびるはひとつ
心臓はひとつ
わたしはひとつ



あなたにあげたいもの
みんなひとつ



裸足のつまさき
光のつぶと
影のかけら


あなたはだれ?


鏡の上
ふたつの足で
駆け出す五月




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