蛇/はちはちよん
 
例えば犬や猫みたいに
せめて小さい頃の姿が
あいくるしいものだったら
愛することを知れたのに
愛されることを知れたのに

子供のころから
ずうっと考えていたこと
あたし本当は
毒なんて持ってたくないの

夏のあつい日
バナナの葉と同じ色をした
つなぎを着た男がきたの

長い睫毛を
木漏れ日にきらめかせて
とろけるように
やさしく笑った

そうしてあたしを
そっと抱き寄せたの

愛すること
愛されること
こういうことだったんだ
頭からしっぽまで
ぴりぴり熱くなった
はじめて涙が
出そうになった

あたし今日から
このひとの枕になる

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