旬/あおば
れ以上は丈を伸ばすことが出来ない運命なのだ
観念して貰いたい
少しだけ悪い気もするが
土を拭って持ち帰る
筍をもっての帰り道は遠く
筍掘りがやけに重くて邪魔になるのは何故だろうとは考えないが
持ち帰らないとお祖父さんに叱られると
長い柄をおもいきり高く持ち上げて
地面に擦らないようにして
歩く
腕が疲れてやりきれない
筍は
皮を剥かれて裸にされて
お鍋の中の湯気の立つ
とぎ汁でアクを抜かれ
小綺麗になってから
じっくりと茹でられて
味を付けられ
色を濃くして
夕食のお膳に並ぶ
少しえごいけれど
自分で掘った筍だから
我慢して食べなくてはならない
筍は好物でもなく
食べることには執着することはなかったが
筍掘りを抱えて
お祖父さんの竹の畑に行くのは年に一度の楽しみのひとつで
何回か訪れたかは忘れたが
多くても3回を超えることはなかったと思う
えごい 方言、堅くて渋い食感の形容、えぐい
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