眩しいため息/あおば
数えられない幼い子も
数えられる子も
懸命に拾うので
庭の内には一粒もなくなって
大人たちは少しほっとする
食べられる木の実が
雨に濡れ
腐って駄目になるのは
もったいないし
芽を出して
育ったとしても
庭の内に
これ以上
大木になる木は置けないと
子供たちの行いを好ましく嬉しく見守った
これで
スダジイも安心しているかも知れないと
スダ爺は蘊蓄を傾ける
普遍を求めて透明になるのには
スダ爺も嫌なので
ときどき訪れる若者に
誰でも時が来れば分かることを
悠久の心理のような顔をして
少しもったいぶって
話す
話に夢中になり
身体も熱を帯びて
疲れてしまう頃
スダジイの実は
コトリと
落ちるのだ
大人たちも微笑んだ
戻る 編 削 Point(8)