花散る/蒼木りん
 
告げれば赦されない

雨がまだ止まない

わたしは
わたしのために生まれてきたのだと
抜かせばづうづうしい

ならば
人のために尽せているのかと
問う

答えはいつも二通り
人のためは自分のため
わたしの自分の
何のため

苦しいのはどうして

きっとあれは
タイムポケット

ベルの世界に迷い込んだ
もう行けない場所

無くした傘を
探せるだけ探して
どこにも見つからない

けれど
明日も雨が降るから
大切なものが濡れてしまうから

ひとり
抱え込んだものが
重くて
だれも気づいてくれないから
捨ててしまおうか

人のために
抱えてきたものを
わたしひとりには
持ちきれないから

分投げてしまおうか

さようならを
言うことをしなくなって
「さようなら」と言って
泣く


わたし さようなら


わたし さようなら


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