まだ眠る街/
中原 那由多
窓の外の蒼い光は
声なく私を呼んでいた
冷え込む夜に身を投げて
立ち眩むほどに十六夜の月を見上げると
遠くの車道を行く風の足音が耳を抜ける
夢に似たオリオンが瞼の裏にも輝いて
名の知れぬ音色が鼓膜を掠める
サザラチャンヒャラ
サザラチャンヒャラ
灰色の壁に映える私の影さえも幻か
冷たい鉄柵に傾いて
再び見上げたら
私は手を伸ばしていた
この瞬きはいつまで続くのか
またとないこの瞬きは
サザラチャンヒャラ
サザラチャンヒャラ
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