バケツ/
ほしのみくず
ぽん、ぽろりん
転がるように軽く、軽く
錆びた鉄に水玉が落ちる
実体のない柔らかさが
しめやかな心に吸い込まれて
弾けて、溶けて
胸の奥をへそにむかって落ちていく
ぽん、ぽろりん
焔を逃がした瞳に静かに蓋をして
そぼ降る雨の音に、耳を預ける
どこかの砂時計みたいに
滑り落ちていくような脆い夢のなかで
ぽん、ぽろりん
ぽんぽろ、りん
鉄の底に雨粒が落ちて
割れて、溶けて。
ガラス玉のような音が
煙みたいにひろがって
無心の体に潜り込んでくる
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