釣りあげる/ほしのみくず
 



オトナ達が装備している
色無しのココロは
時には茹だるように暴れてみせる


荒んだカラダの中で
足掻く心臓とせめぎあうように
かたかた、かたかたと
硝子玉の冷たい音が落ちていく


タイムリミットの合図


オトナ達は長い竿を手にとって
イケへと歩きだす


厚く張った氷をえいさと叩いて
長い竿を池のなかに沈めるんだ
興奮の汗が一筋
不気味な笑顔を伝って落ちる


氷の下で眠る少年達に光が注ぐ
少年は目を瞬かせて
灰色の瞳をきらきらと光らせる


輝いた未来を信じて
少年はきらめく餌に食らい付く

そして少年はオトナに釣られて
少年は少年で、なくなるんだ

若さはひらひらと
少年の背中から剥がれ落ちていく



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