口笛先生/中原 那由多
 
口笛先生の音色に大地は歓喜した
木の葉はトリプルアクセルを見事に決めて
自転車たちがウェーブした


晴れのち曇り、曇りのち雨、雨のち晴れ
口笛先生の前でそんなものは関係ない
笑えないジョークと一緒にピューピューすれば
みんな途方に暮れるばかりだから


ガタンガタンとガラスが地団駄
カシャンカシャンとブラインドが八つ当たり


「どうしてほんの少しだけ窓を開けてしまったの?今日は口笛先生が不機嫌でいらっしゃるから、じっとしてなきゃ駄目でしょ?全く、石本君がlabelをラベルなんて発音するからこんなことになるのよ」


白いカーテンが小さく揺れていた
七三分けの口笛先生


今日もメロディアスな三限目


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