魔法使い/ふるる
に心を奪われてしまったのだ。
あくる日から、少女は森の奥深くにある魔法使いのすみかをたずね、是非弟子にして欲しい、と頼み込むようになった。何度断っても懲りずに少女が訪ねてくるので、魔法使いはとうとう「好きにするがいい」とつぶやいた。しかし、自分が教えるようなことは何もない、あそこにある魔法の本を読むことは許可する、と。
少女は喜び勇んで魔法の本に取り掛かった。大半は抽象的な言葉の羅列で、意味がわかる時もあれば、わからない時もあった。少女はまた、魔法使いの身の回りの世話もかって出た。少女の家は大家族であり、末っ子である少女はかわいがられもしたが、いつも大勢のために働き、大勢の中に埋もれるばか
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