魔法使い/ふるる
 
ばかりの暮らしでは嫌だったのだ。どうせなら尊敬できる人のところで、私だけができる手伝いをするんだ。
 家族は始めは反対したり、近所の噂になるので嫌な顔をしたりしていたが、少女が楽しそうであるのと、家事の腕がめきめき上がっていくので、早めの花嫁修業に出しているのだ、と思うことにした。誰も少女が本気で魔法の練習をしているとは思わなかった。
 こうして何年かが過ぎ、年頃の娘となった少女にはそろそろ縁談の話が持ち上がるようになった。森の恵みと規則正しい労働で作られた若木のようにしなやかな身体、そして魔法の本で得た知識や洞察の深さなど、娘になった少女には同じ年頃の娘たちにはないたおやかな美しさと、聡明さ
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