波打ち際で/服部 剛
 
久しい友との再会にグラスを重ね
ふくれあがる泡のビールを
渇いたのどに流し込み
赤らんだ 頬のほてりも醒める頃には
だんだん 寒くなってしまう 

友と別れ
夜の浜辺に呼ばれ
造りかけの人気(ひとけ)ない海の家を通り抜け
波打ち際で縮こまって 膝を抱える

この肌を 風に震わす寂しさよ
波音に溶け入れ

いつも共にいれば
二つ三つと笑顔は増えた 
時にはぶつかりあい
泥まみれの背中合わせだった

人を愛せばいつも
この胸に 甘く 苦い 潮水のうねりでも・・・

「久々に会えてよかった」と
寄せ返す闇の波間に
皆の顔をしゃぼんの幻にして
夜の海
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