檸檬/柊 恵
れるように座り込む彼女
堪らない気持ちで歩み寄る僕
「どうしたの?」
両手で髪を包み込む
愕いて泣き止む
「大丈夫かい?」
顔を上げ不思議そうに見返す彼女
紙袋の檸檬を二つに千切る
酸味が迸る
「檸檬、好き?」
コクンと頷く
ひとくち噛んで呟く
「甘い…?」
周りの視線が痛い
「行こう」
彼女を立たせた
「ありがとう、声かけてくれて」
「少し落ち着いた?」
「さっきね、髪を撫でられて身体が、ふゎってしたの…」
「泣かないでって祈ったからかな」
「あなたで良かった…」
「少し話そうか?」
大きなMの看
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