天使の肌は冷たい/佐々宝砂
 
あかるくひかる空の雲は氷点下である。

なにを恐れているかしらないけど
きみはあかるい空をあおぎおびえる
わきあがる雲をみてふるえる
ゆらぎさる風にふれておののく

きみを
ちょっとだけ助けられたらいいんだけど
天使の肌は
つめたすぎる

あかるくしろい尾根もきっと氷点下である。

恐れを取り払ってしまいたいのに
それはわたしの恐れではない
涙を吹き払ってしまいたいのに
それはわたしの涙ではない

きみに
ちょっとだけ声をかけたいのに
天使の肌は
今朝もひやっこくて

だけどさよならはまだ言わない
絶望しない
だからどうか
まだそこにいて

天使の肌は
氷点下に凍って
あくまでもうつくしく。
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