ロディにのって/竹節一二三
 
わたしにまつわる
もろもろをかなぐりすてて
たびにでよう
ちいさなロディを
だきしめて

月のかたちのポシェットに
ハンドタオルとちりがみと
うすく赤いマニキュアと
それから桃のくちべにと

黄色いロディと
ひとりのわたし

「ながいこと たびにでます。
 ロディもつれてゆきます。
 どうか さがさないでください。」

さいごに日付と
わたしの署名
それからロディのあしがたを
あこがれの文句をかきちらし
それから扉をおしひらく

夏のおわりに秋のむし
強いひざしにまけないように
ちいさな帽子をロディにかぶせ
ふたりで果てへあるいてゆこう
あさとひるとよるを
光のようにつきぬけて

戻る   Point(2)