おうまがどきの温度とぼくの友達との関係/凪目
 
本を閉じると
立ちのぼっていくけむり
あちこちから湧き立ちはじめる
エクトプラズム

小屋の外をかけまわっていた子供が
ふいに立ち止まって
草原のはるか向こうを見た

ぼくはしおりを山羊にあたえながら
異国の民俗音楽を歌う
小食なただひとりの友人は
ためらいなく物語の続きを飲み込んでいく

さらわれた子供の
くびすじやつまさきから
立ち上っていくけむり

ゆうげの匂いをさせて
背の高い草たちが踊る
食器の立てる音で
三日月が満ちた
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