団子虫の最期 /服部 剛
 
湯舟から上がり 
シャワーを浴びていた 

足元に汚れたものが
落ちていたので 
シャワーをかける 

しゃがんで見ると 
細い足で 
タイルの縁(ふち)にしがみつく 
一匹の団子(だんご)虫 

「ほれほれ」と 
指でつついてみたものの 
お湯に浸った団子虫は 
もう、動かない。 

汚れに見えた団子虫の 
鼠色の丸まりが 
いらないものを 
洗い流してしまう 
自分のエゴに見えて来て 

小さい傷みを感じた僕は 
裸でしゃがんで背を丸め 
(ごめんなさい・・・)と 
両手を、合わせた。 




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