孤独/ふくだわらまんじゅうろう
彼は悲しかった
彼女の心の裂け目から
本当の声が聞こえるようだったから
彼女の心いっぱいに広がった
血の海の赤があまりに美しく映ったから
彼は本当に彼女を愛したのだ
彼女を愛し
彼女の孤独を愛したのだ
君は本当の孤独を知らない
だからお日様を浴びようとしない
君は本当の孤独を知らない
だから自分の足で歩こうとしない
君は本当の孤独を知らない
だから枝豆の茹で方を知らない
君は本当の孤独を知らない
だから自分の罪を知らない
君は本当の孤独を知らない
本当の孤独を知らないからそうやって
人を憐れんだりする
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