モノクロにモザイク/中原 那由多
れた売り物件と
1日必ず誰かが押す自販機のボタンが向かい合って
一体何の話をしているんだろうか
もうすぐ咲きそうなキンモクセイの香りが甘くて
自宅さえも非常なものに見せられた
夕陽を反射した飛行機雲が遠く遠くへ伸びていて
細く尖った不気味な顔色をした月が美しかった
今この時は誰にとっての幸せで
誰にとっての悲しみなのだろうか
人の目に映る世界は色鮮やかだったとしても
私には無彩色の舞踏会にしか見えない
世界は、人は気まぐれの塊だから
戻る 編 削 Point(3)