モノクロにモザイク/中原 那由多
 
れた売り物件と
1日必ず誰かが押す自販機のボタンが向かい合って
一体何の話をしているんだろうか

もうすぐ咲きそうなキンモクセイの香りが甘くて
自宅さえも非常なものに見せられた

夕陽を反射した飛行機雲が遠く遠くへ伸びていて
細く尖った不気味な顔色をした月が美しかった

今この時は誰にとっての幸せで
誰にとっての悲しみなのだろうか
人の目に映る世界は色鮮やかだったとしても
私には無彩色の舞踏会にしか見えない

世界は、人は気まぐれの塊だから


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