モノクロにモザイク/中原 那由多
 
高架下の日陰が心地好く感じて
雑草にそびえ立つ鉄塔を虚しく見上げた

蔓の絡まる赤錆びたフェンスの向こう側には
ひび割れたアスファルト上の秩序が腕組みするだけ

車通りが少なかった夕方の国道と
荒れ果てた醜い空き地が並んだら
いつもの当たり前が滑稽に思えてきた

物静かな住宅地に囲まれた小さな公園の
汚れた遊具のそばには誰もいなくて
冷たい空気だけが寂しく戯れていた

蛍光灯が取り替えられていない微弱な街灯は
何を照らして何に感謝されるのだろうか

頑なに通行を拒む看板が哀れに見えて
その先には何にも残ってはいないと知った

誰も住みたいと思わなそうな廃れた
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