タイカリー/ふくだわらまんじゅうろう
 


わたしはいつもグリーンカリーを
彼女はいつもレッドカリーを
他にサイドオーダーなんて必要なかった
午後の時間がゆっくりと流れるだけだった

「私、時間は信じない」
「そうさ、時間なんて存在しないんだ」
アインシュタインが聞けば喜びそうな言葉だけれど
彼女が言った意味は違うんだ

小さな店の
タイカリーが
あの窓から眺めた青春の断片たちを
けしてわたしを許してはくれない断片たちを



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